ワークショップ
講師 井上郷子、伊藤祐二
未来に受け継ぐピアノ音楽の実験 コンサート
21人の作曲家、21曲の委嘱作品による
このプロジェクトで、井上郷子、伊藤祐二は、21人の作曲家に ”拡張ピアノ奏法を含む” という条件で、新作を委嘱しました。これは、その21曲の新作を、4人のピアニストが3日間のコンサートで演奏した記録です。
録音とYouTubeを通じての動画では、拡張ピアノ奏法による繊細な倍音や、微妙なピッチによる微細なうなり、3つのスピーカーを使った伊藤作品での、空間の音の定位、等を聴くことは残念ながら、とても困難です。とは言え、可能な範囲で、良いオーディオ環境でお聴きいただければ幸いです。
プログラム A
2021年1月17日,
両国門天ホール
木下正道 : プリペアドピアノのための 「無名の歌Ⅲ」
後藤天 : 事の森
黒田崇宏 : Fragment for prepared piano
田中聰 : Silent Pulse
渡辺俊哉 : 交差する眼差しⅡ
たかの舞悧 : マージナル プリペアドピアノとスーパーコライダーのための
(スーパーコライダー:たかの舞悧 エレクトロニクス:磯部英彬)
田村文生 : 花
演奏:井上郷子(黒田、田中、渡辺、田村作品)
藤田朗子(木下、後藤、たかの作品)
PプログラムB
2021年1月2
両国門天ホール
山本哲也 : 宙吊りの色彩
川島素晴 : Vibra-pfone
鶴見幸代 : すもうハノン第二集
篠田昌伸 : ATONALUMORI for Piano and 3 players
飛田泰三 : of rain
金ヨハン : a embodied “piano” for 1 piano and 3 voices
山本裕之 : 相対性カノン
演奏:井上郷子(山本哲、篠田、飛田、金作品)
榑谷静香(川島、鶴見、篠田、金、山本裕作品)
篠田昌伸(篠田、金作品)
プログラム C
2021年1月17日,
両国門天ホール
January 24 2021
鈴木治行 : 揺り返し
中野和雄 : かすかなものと
伊藤彰 : 文体練習
田中吉史 : attack, decay, resonance for piano
星谷丈生 : Platycodon
渋谷由香 : Found Overtone
伊藤祐二 : エーコーの森 ~ 同時進行のプリパレーションと3つの小さなスピーカー
を伴うソロピアノの為の
演奏:井上郷子(中野、伊藤彰、渋谷、星谷、伊藤祐作品)
篠田昌伸(鈴木、中野、田中作品)
本プロジェクトは、両国門天ホール(東京)ホールマネージメント、黒崎八重子によって立ちあげられ、日本のホールに於ける拡張ピアノ奏法の現状に一石を投じるために、2018年~2021年の4年間に渡り活動しました。(注)
日本のホールで、ピアノの拡張奏法(特殊奏法)を用いた作品-例えば、ジョン・ケージの「ソナタとインターリュード」のような-を演奏できる(ピアノの使用許可が下りる)ところは、きわめて限られています。その為に、多くの魅力的な作品が演奏不能となっているだけではなく、現代のアーティストが拡張奏法を用いて新しい表現を試みることが非常に難しくなっている現状は憂慮すべきものです。
半世紀前にすでに問題提起されていたにもかかわらず、一過性の論議に終わっていた歴史の轍を踏まないために、本プロジェクトでは、作曲家(伊藤祐二)、ピアニスト(井上郷子)、音楽学者(庄野進)、ホール代表(黒崎八重子)が、一つのテーブルにつき、この問題に取り組むことで、立場性を超えて、一般性のある、ある種のスタンダードとなりうる活動とその結果を得ることを目指しました。
具体的には、ホールの現状調査、拡張奏法を用いた作品の調査とアーカイヴの作成、音楽家の現場におけるワークショップ、様々な当事者による座談会、作品委嘱と実証コンサート、シンポジウムの開催、そして、最終的には、音楽家とホール管理者が具体的な指標と出来るような、「ピアノ管理規定」の提言を含む、この問題に関する様々な問いへの、一応の解答の提示を目ざしました。そして、すべて活動の記録は、ウェブサイト上で公開されました。
注)
主催:一般社団法人もんてん
運営メンバー:伊藤祐二(作曲家)、井上郷子(ピアニスト)、庄野進(音楽学者)、黒崎八重子(一般社団法人もんてん代表)
助成:2018年~2021年 東京芸術文化創造発信助成【長期助成プログラム】事業(芸術創造環境の向上に資する活動)として、公益財団法人東京都歴史文化財団アーツカウンシル東京による助成
未来に受け継ぐピアノ音楽の実験
2018 - 2022
58の動画集
拡張ピアノ奏法、実例と方法